【大垣市】インタビュー/環境にも人にも優しい「つまみ細工」アクセサリーで農業に興味を持ってほしい!その想いに迫る
日本の伝統工芸「つまみ細工」と農業を繋いで、幅広い人にその魅力を知ってほしい。そんな想いを胸に活動するクリエーターが地元にいるのはご存じでしょうか?今回は「こびとの農園」のメンバー、多治見優美さんと津川祐多さんにインタビューしました。(取材日:2025年9月26日)

※画像はイメージです
──「こびとの農園」ではどのような活動をしているのでしょうか?
津川 祐多(※以下、津川):農業の魅力などを発信する団体です。メンバーは企画広報の私と代表の多治見の2人で、農と人を繋げる架け橋のようなことをしたいと思い、活動を2025年3月からスタートしました。
多治見 優美(※以下、多治見):私はクリエーターとして農作物の花をモチーフにした、つまみ細工のアクセサリーの制作を主に担当しています。つまみ細工とは、布を折りたたんだり、つまんだりして形をつくっていく日本の伝統工芸で、とても繊細な美しさがあります。
──2025年3月からスタートされたとのことですが、きっかけは?
津川:実は私は元岐阜県庁の土木分野で働いていたのですが、農業って幅広くてなかなか魅力を発信するのが難しいと感じていました。それで5年間働いた後に退職し、農業関係のWebサイトなどの運営をしてきました。そんな中、同じ大学の同級生だった多治見さんが、つまみ細工をしていると聞き、何かできないかと声を掛けたのがきっかけです。
多治見 :私は県内のJAで働いていたのですが、一念発起して退職し、つまみ細工作家活動をスタートさせました。そんな中、話を聞き付けた津川さんが声を掛けてくれ、私自身も農業関係の仕事をしていたので、お互い農業に対して「もっと知ってもらいたい」という思いを何か形にしたくなって「こびとの農園」の活動を始めました。
──先程も話の中にありましたが、農作物の花をモチーフにした理由は?
多治見:もともと農作物の花ってかわいいなぁと思っていたんです。それをモチーフに作品をつくっている人もいなかったので「このかわいさ、美しさを知ってもらいたい!」と思って、農作物の花のアクセサリーを制作し始めました。それを見た津川さんが「食育細工」として発信してはどうか、と言ってくれたんです。
津川:農作物の花にスポットを当ててアクセサリーをつくっている、と聞いた時は驚きました。消費者に野菜や自然の魅力を伝えるのにはピッタリだと思い、2人で話し合って「食育細工」として販売することにしました。今ではアクセサリーや小物をつくって、Webサイトを中心に販売しています。大垣市内では「珈琲焙煎加藤」(大垣市新田町)でも購入することができます。
──今回、就労支援A型・B型事業所「シュシュ」が販売する「にしみのおやさいクレヨン」を用いてつまみ細工を制作した、とお聞きしました。
津川:ご縁がありシュシュさんとコラボレーションさせていただきました。今回つくったのは「ピーマン」、「カボチャ」、「パプリカ」の3種類の耳飾りです。皆さんがイメージしやすい実とその花がワンセットになったデザインとなっています。にしみのおやさいクレヨンは、西濃地方で廃棄予定だった野菜などを原料にしてつくられたもので、それを実の部分に着色して使用しています。今後はクレヨンのラインナップに含まれる他の色を使い、その原料となる花と実(フリルレタス、こまつな、ごぼうなど)をデザインしたシリーズを順次展開していく予定です。
多治見:つまみ細工の布は2センチ四方の布でパーツをつくり、組み合わせます。実をアクセサリーのデザインに取り入れることで、それとセットになっている農作物の花を連想しやすくなっているのではないかと思っています。
──すごく細かい作業ですね!
多治見:事前に設計図をつくってから作業に取り掛かります。見本がないので、自分で1から作ります。なるべく岐阜県内の農作物をモチーフにしたアクセサリーを作りたいと思っていて、モチーフとなる作物の実物の花や実を観察しながら、花びらの形・色・花の構造などを細部まで再現するよう心がけています。作品から「農作物ってこんな美しい花が咲くんだ!」と気がついてもらえると嬉しいです。

写真左から:多治見優美さん、津川祐多さん
──今後はどんな展開をしていきたいと考えていますか?
津川:今回のコラボレーションは「伝統工芸」、「食育」、「アップサイクル」を掛け合わせた全国的にも珍しい取り組みだと思っています。これを機に、食育ワークショップや出張講座などにもっと力を入れていきたいと考えています。「食育」と聞くとちょっと難しそうなイメージを持つ方もまだまだ多いかもしれませんが、身近なものだと感じてもらえるように発信していきたいです。
多治見:ワークショップでは私と一緒に農作物のつまみ細工をつくります。興味がある方はぜひ、参加していただきたいです。
──最後に、この記事の読者に伝えたいことなどがありましたら、教えてください。
多治見:農業の魅力を今後も発信していきたいと思っています!興味がある方はぜひ一度ワークショップにご参加ください。
津川:公式Instagramで活動なども発信しています。よかったら一度、どんな活動をしているか見てください。お待ちしています!
──ありがとうございました。
農業と人を繋ぐ新しい取り組みをする「こびとの農園」の2人。いつかはアトリエを構え、学校などで子ども向け食育ワークショップを開きたいとも話していました。今後の活動に注目です。
アクセサリーの販売をしている「珈琲焙煎加藤」はこちら↓