【大垣市】インタビュー/多世代食堂などを運営する「いるかのこそだて」の活動と伝えたい想い
大垣市新田町にある「cafe&kitchenどるふぃん」は、おいしい食事が楽しめるお店。でも、それだけじゃないのはご存じでしょうか?毎月第4日曜日の正午から午後1時30分までは店舗前の駐車場で「子ども食堂(多世代食堂)」を開催したり、毎週水曜日と木曜日の午後6時から午後7時までは「夜ご飯支援タイム」として300円で特製ハヤシライスを提供したりと、幅広く交流活動を行っています。今回は、店長で社会活動家でもある松好和子さんに、その活動を続ける想いについてお話を伺いました。(取材日:2024年6月28日)
──松好さんは店の経営だけでなく「いるかのこそだて」という市民団体の代表も務めていらっしゃいますが、主にどのような活動をされているのでしょうか?
松好和子さん(※以下、松好):私たち「いるかのこそだて」はボランティアの市民団体です。子ども食堂の運営、子どもの居場所づくり、子育て支援、地域交流、フードパントリーの開催など、その活動は多岐にわたります。
──毎月第4日曜日には「子ども食堂(多世代食堂)」を開催されていますが、こちらはどのような内容となっているのでしょうか?
松好:地域の方々にご提供いただきました食材などを使って、食事のふるまいや物資の支援を行っています。参加費用として、こどもは0円ですが、大人は300円以上の協力金が必要です。協力金は今後の活動の運営に使わせていただいています。また、食事をするだけでなく毎月テーマを設けたイベントも開催しています。6月のテーマは「命を守る活動」で、JAFの協力のもとシートベルトコンビンサー(衝撃体験装置)を設置し、シートベルトの大切さについて学ぶ機会を設けました。
──会場で参加者は時速5㎞の追突を体験しましたが、思った以上の衝撃を受けていましたね?
松好:はい。子どもから大人まで、多くの方々に体験していただきました。時速5㎞でもかなりの衝撃ですので、大切な命を守るのにシートベルトがいかに重要かを強く感じてもらえたのではないでしょうか。参加した中には妊娠中の方もおり、体験したことで意識が変わった、と話してくださいました。
──会場では子どもにも分かりやすい講習も設けられていましたね?
松好:JAFの方による安全講習と5分ほどのDVDの視聴を行いました。目で見て、体感して、参加した方々に何かを感じ取ってもらいたいと思って企画しました。
岐阜県では、毎年6月と10月を「シートベルト・チャイルドシート着用強調月間」としており、取材した時期はまさに、すべての座席のシートベルトの着用とチャイルドシートの正しい使用についての啓発活動が行われている時期でもありました。
──今回のシートベルトの大切さについて、松好さんご自身も思うところがあるとお聞きしました。
松好:はい。実は私も22年前に、幼い我が子たちがチャイルドシートをしていなかったため、1人が重傷、1人が命を失うという経験をしています。あの時のことは今でも鮮明に覚えていて、ちゃんと着用していたら救えたはずの命のことを思うと、今でも悔やみきれません。それ以降、20年間縁のある滋賀県を中心にチャイルドシートの大切さについて講演活動をしてきました。今回の活動を通して、岐阜県でもその大切さを伝えるきっかけになったのではないかと思っています。
自身の事故から20年を経たタイミングで、滋賀県東近江市の交通安全指導員の方から提案があり、松好さんは自分の手記をもとにした紙芝居の制作に関わりました。「亡くなった息子に背中を押された気もするんです」と振り返る松好さん。事故の状況やチャイルドシートの重要性を説いたこの紙芝居は2023年3月に制作され、2024年7月現在も交通安全の啓発活動などで活用しています。今後も活動を通してメッセージを伝えたいと話していました。
──今後の「いるかのこそだて」の活動について教えてください。
松好:子ども食堂(多世代食堂)は今後も毎月第4日曜日に行っていく予定です。7月は「鮎つかみ」イベントを、8月は場所を変えた「出張子ども食堂」を企画中です。気になる方はぜひ、参加してみてください。
──ありがとうございました。
芯のある活動を継続する背景には、並々ならぬ想いが詰まっていて、会うたびに私も何か社会のためにできることをやっていこう、と奮い立たせてくれます。人が、人を想う。その根源にある清廉で真っ直ぐな想いに胸を打たれました。今後の活動も注目ですね。
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